日本文学講義TA

授業コード 受講区分 学科 授業期間 履修年次 単位 担当者
111601   日本文学科 前期 1・2 2 重松 恵美

授業の主題(テーマ)
今、読まれている小説。今、読んでほしい小説。

授業の目標(講義概要)
今まさに注目されている作家たちとその作品を取り上げ、なぜ読まれているのか、それぞれの作家と作品の魅力について考えます。この授業で紹介する作品の中から、受講生一人一人が読みたい小説を見つけてほしい、そして、身近な誰か(家族や友人、恋人)に読んでほしい小説や、誰かと一緒に読みたい小説を見つけてほしいと思います。

授業計画
1.白岩玄(しらいわ・げん/1983年生まれ)「野ブタ。をプロデュース」(2004年)
 京都出身の期待の新人作家、白岩玄のデビュー作を紹介します。
2.テレビドラマ「野ブタ。をプロデュース」(2005年秋放映)を観る
 多くの読者をひきつけた原作前半部の明るくスピーディーな展開を、ドラマ版では様々なエピソードを追加して更に楽しめるストーリーを目指していましたが、その一方で、暗くやりきれない感じの原作後半部を、作品の重要なテーマとしてドラマに織り込もうとする姿勢が印象的でした。全10回のテレビ放送分から幾つかの場面をとりあげて鑑賞し、改めて原作のテーマを考えます。
3.村山由佳(むらやま・ゆか/1964年生まれ)「BAD KIDS」(1994年)
 自然体の田舎暮らしを続ける村山由佳は、人をまっすぐに見つめるような、若々しくみずみずしい恋愛小説を多く書いています。「BAD KIDS」をテキストに読み進めるほか、若い読者に根強い人気の「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズを紹介します。
4.第一回小レポート
 「BAD KIDS」の人物とストーリーの確認として、小レポートを課す。
5.辺見庸(へんみ・よう/1944年生まれ)「ハノイ挽歌」(1991年)
 「自動起床装置」で芥川賞を受賞した小説家であり、「もの食う人びと」で大反響をよんだルポルタージュ作家でもある辺見庸。今回は、ベトナムの空気をそっと切り取ってきたような短編を紹介します。
6.荻原浩(おぎわら・ひろし/1956年生まれ)「オロロ畑でつかまえて」(1997年)
 謎の怪獣「ウシアナザウルス」をでっちあげて村おこしをはかる人々の個性的すぎる言動、そして信じられない結末。ただ読んで笑ってほしい一冊です。
7.金城一紀(かねしろ・かずき/1968年生まれ)「GO」(2000年)
 「フライ、ダディ、フライ」の映画化でも話題の金城一紀。彼の恋愛小説「GO」は、在日の差別の実態を描きながら、在日の問題に興味のない若い一般読者に広く受け入れられた稀有な作品です。
8.映画「GO」を観る
 出来る限り、カットなしで全編をみてもらう予定です。
9.第二回小レポート
 「GO」の人物とストーリーの確認として、小レポートを課す。
10.黒川博行(くろかわ・ひろゆき/1949年生まれ)「カウント・プラン」(1996年)
 大阪を舞台とする数々の犯罪小説で急速に読者を増やしている黒川博行の短編を紹介します。
11.佐藤賢一(さとう・けんいち/1968年生まれ)「傭兵ピエール」(1996年)
 フランスを舞台とする骨太な小説を次々と発表している佐藤賢一の作品から、ジャンヌ・ダルクとその恋人を描いた長編「傭兵ピエール」を紹介します。
12.宝塚歌劇「傭兵ピエール」(2003年上映時の映像)を観る
 基本的な構成を受け継ぎながら、原作に見られる戦場の荒々しさを押さえ、見違えるように華麗に仕上がった舞台です。

評価方法
配点は、期末レポート35点、小レポート20点×2回、授業への出席25点とする。
期末レポートは、授業で紹介した作品の中から、小説一編を選んで論じること。

テキスト
「BAD KIDS」村山由佳、集英社文庫、¥419+税
「GO」金城一紀、講談社文庫、¥448+税

備考